【ALBUM REVIEW】Gilgamesh / Another Fine Tune You’ve Got Me Into(1979)

UK

今年初めにリリースされたGenevieve Artadi『Forever Forever』に感銘を受け、最近ずっと似たような音楽を探しておりました。
で、どうやら「フュージョン」や「カンタベリー・シーン」の一部のバンドがかなり近しい音楽性だということを知り、そこでいろいろ漁っていたところ、まず最初に気になったのがコチラ。
Gilgameshの2ndアルバム『Another Fine Tune You’ve Got Me Into』でございます。
というかGilgameshというより、このバンドの中心人物、キーボディストのAlan Gowenですね。彼のキラキラした万華鏡のような鍵盤サウンドに魅了されまして。彼が関わった作品を片っ端から聴いている次第です。

私は基本、サイケ、シューゲイズ、それらを包含するオルタナティブ・ロックが主食のリスナーで、このブログの内容もその辺りに照準を合わせてるんですが、幼少のころから大学くらいまでピアノをやっていた関係上、実はジャズやフュージョンもけっこう好きなんですよね。ニューミュージックやシティポップが好きなのもその影響です。
とはいえ、このあたりの趣味までブログに反映させちゃうとちょっと焦点がボケちゃうので自制していたところではあったんですが、カンタベリー界隈なら割と幻想的なニュアンスが強いため、まあいっか、ということで今後もちょくちょく紹介していきたいと思ってます。

ということで、まずカンタベリー・シーンについて。
ジャンル名だけは知っていて、特にウェールズのサイケバンドGorky’s Zygotic Mynciにハマっていた時に、よくこの用語が連発されていて気になってはいました。
ただその時は、初期のThe Soft MachineとかKevin Ayersの作品をちょろっと試聴したくらいで、深入りはしなかったんですよね。
カンタベリーシーンは60~70年代にかけて、イングランド南東部の街のカンタベリーで発生した音楽シーンで、サイケ、フォーク、ジャズなどの要素が強いプログレ、といった感じのジャンル。その中でも、Alan Gowenが関わっているバンドはフュージョン色が強く、今回紹介するGilgameshはその中でも幻想的な音世界を作り上げているバンドです。


基本的にはインストのバンドで、ロック色も弱めなんですが、鍵盤とギターによるコロコロ・フニャフニャしたやわらかいサウンドが耳にたいへん心地よいです。
ジャズ特有のテンションコードや転調を多用する幻想的なコードワークもたまりません。
フュージョン系の音楽って当時流行り過ぎてダサイものも多いんですけど、彼らは洒落てるし、何よりドリーミーなのがいいです。
『Another Fine Tune You’ve Got Me Into』(君が私を夢中にさせた、もう1つの素晴らしい曲)というアルバムタイトルも素敵です。


『Sunshower』のころの大貫妙子な感じもありつつ、こういった複数のモチーフがいくつも繋がった長い曲がプログレっぽい要素なんですかね。まだあんまり詳しくないので適当なことは書けませんが。
終盤のキーボードとギターの掛け合いは、夜空を駆け抜ける流星のようで美しいですねぇ。


アルバムは全体として上品なムードながらも曲単位で起伏に富んでおり、瞑想的なムードになったかと思えば、後半はスペーシーかつ煌びやかなシンセサウンドで盛り上げたりと、1曲1曲は長くても途中で一切退屈しません。


ただ単にジャズっぽい音楽というだけでは終わらず、この曲のように、クラシックな管楽器を用いたりして幻想的なムードを醸し出すのがイイんですよね。深い森の中で妖精が出て来そうな感じというか(曲名は水中ですが)。
こういう雰囲気がドリームポップ好きな私を引き付けてやみません。

まだハマり始めたばっかりであんまり深いこと言えないのがもどかしいんですけど、とにかくイイです。最近ずっとこれと次紹介する予定のNational Healthばっかり聴いてます。
今年はしばらくカンタベリー系の音楽を追っかけていくことになりそうですねぇ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました